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アサーティブであるために(6)
 前回はアサーティブネスとはどんな行為かということについて大枠でお伝えしました。今回はその中でも、もっとも基本となる「頼む」場面を例に、アサーティブネス行動について具体的に考えていきたいと思います。

 人に何かを頼むということは生活のいろんな場面で出てくることですね。ご家庭の中、親戚づきあい、職場、サークル、友人関係、様々な活動の中で誰かに何かを頼むことは私たちの身の回りにあふれています。「頼むの苦手でついつい仕事を抱え込んじゃうの」という方もいらっしゃれば「頼むのが得意」という方もいらっしゃるかもしれません。どちらの方もアサーティブに頼むということを今回は一緒に考えてみてください。

 頼むことを上手にできないという方、今までどんな苦労がありましたか?「仕事や自治会などの活動を他人に頼めなくて、あるいは家事を家族に頼めなくて、すべて自分が抱えてしまって体調を崩した」という方もいらっしゃるかもしれません。あるいは「頼めなくて、いらいらして家族や大切な人に当たってしまった」という方もいらっしゃるかもしれません。ひょっとすると「仕事を誰にも頼めなくて、納期を逃してしまって後で責任問題に発展した」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

 頼めないということ、それは頼まないことによって様々なことを自分自身で体験できる機会を与えてくれます。しかし、時にストレスを生み出しご自身をしんどさに追い込んでしまう原因になっているかもしれません。あるいはそこまで行かなくても「こんなに私が大変なのに」と気づいてくれない誰かを恨む原因になっていたかもしれません。

 一方、頼むのが得意という方、頼みごとをしたときの周りの方の反応はいかがでしたか?「いいよ!」と二つ返事で引き受けてくれた事ばかりという方は、自分も相手も大切にした頼み方がもうすでにできているのかもしれません。ただ中には「またぁ」とか「人にばっかりふって」なんて恨み言をいわれたことがある方もいらっしゃるかもしれません。あるいは言葉には出されなくても相手の方の目が怒っていたことはないでしょうか?もし、思い当たることがあるという方はひょっとすると、相手を大切にするという面ではあまりアサーティブでない頼み方だったのかもしれませんね。

 では、アサーティブに頼むとはどうすればよいのでしょうか?今回は最も身近な家族とのコミュニケーションを例に考えてみましょう。Eさんは娘のF子さんに「次の日曜日に車で駅まで迎えに来て欲しい」と言うことを頼みたいと思います。では、アサーティブに頼むときのポイントと一緒に考えて行きましょう。

アサーティブに自分の思いを伝えるには3つのポイントがあるといわれています。


①事実・感情・要求に分けて整理する
 アサーティブに何かを相手に伝えるとき、伝えることを「事実」「感情」「要求(提案)」の3区分に分けることがポイントとされています。
.事実:事実や情報は省かずに相手に伝えます。つまり、伝えたい事実は何かと言うことを相手にも理解しやすいように伝えることです。相手にも理解できる客観的事実を、対等に共有します。
*今回のテーマですと、「日曜日旅行の帰りが遅くなり、バスの時間が終わってしまいそうだ。」と言う事実があるとしましょう。
.感情(自分の気持ちを伝える):アサーティブネスでは「私はこう思う」「私はこう感じる」のように、自分を主語にしたメッセージをI(アイ)メッセージと呼びます。このI(アイ)メッセージを用いて、自分を主語にして気持ちを伝えると、より率直に自分の気持ちを表現でき、自分自身の感情にも責任が持て、アサーティブであるといえます。
*今回のテーマですとEさんには「暗い道を一人で歩いて帰ってくるのは不安だ」と言う気持ちがあるようです。
.要求:要求やお願いは、はっきりと丁寧に伝えましょう。前回お伝えしたアサーティブネスの4つの柱の率直を思い出して下さい。頼みたいことは、はっきりと率直にお願いしましょう。具体的なお願いを、一度のお願いにつき一つだけということも大切なポイントです。
*今回のテーマでは「次の日曜日の9時頃に、車で駅まで迎えに来て欲しい」と言うことを伝えることにしました。

②相手を理解する
 アサーティブネスとは相手も自分も大切にするコミュニケーションを目指しています。自分自身の感情や要求と同じように、相手の方の感情や要求も大切です。「確認」や「質問」を用いながら相手の方の話にもしっかり耳を傾けてください。
*今回のテーマですと娘さんの予定や気持ちにも耳を傾ける必要がありそうです。

③言葉以外のメッセージに気をつける
 人によって異なりますが、多くの人が得る情報の70%は「見る」ことによって得られているといわれています。また、聞くと言うことに関しても、言葉の内容が同じでも、声のトーンや言い方によって受けてのイメージはまったく変わるといわれています。ですのでアサーティブネストレーニングにおいては、言葉以外のメッセージも非常に大切にしています。(このことに関しては8回目で改めてお伝えしていきたいと思います。)
*今回のテーマにおいて、Eさんはこのことはとても重要なお願いだと思っているので、F子さんに真剣な表情でお願いすることにしました。


 次回は、実際にEさんがF子さんにアサーティブに「頼む」場面を一緒に見て行きましょう。



【参考文献】
・小柳しげ子・予語淑子・宮本恵(著)(2008).アサーティブトレーニングBOOK I’m OK,You’re OKな人間関係のために 新水社
・特定非営利活動法人アサーティブジャパン(編)(2000).アサーティブネスへようこそ WELCOME TO ASSERTIVENESS かいらす企画

(望月)

アサーティブネス | 00:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
ペットへの感謝と物語の再構成
 これまで全10回にわたり、ペットロスについて皆さまと一緒に考えてまいりました。最終回となる本稿では、ペットロスを経験した方が、その事実を転機として、人生という物語を再構成していくことの意義について考えてみたいと思います。

 私たちの人生を物語に例えるとしたら、ペットロスは、それまで紡いできた「愛するペットと共に過ごし、これからも共に生きていく」という物語の筋書きを、否応なく中断させられる出来事といえます。

 ペットロスに向き合い、ペットとの別れを受け入れていくこと。それは、この葛藤に自分なりに折り合いをつけ、ペットとの死別や思い出に意味を見出し、人生の転機として、そこからより深みのある物語を再構成していくことだといえるでしょう。


・ペットロスを経験し乗り越えたことは、あなたにとってどんな意味があったのでしょうか。どんな肯定的な価値をもたらしてくれたのでしょうか。

・ペットロスを経験した前と後では、あなたの考え方や行動、生き方にどんな変化がありましたか。

・ペットとの思い出は、これからのあなたの生き方にどんな意味をもたらしてくれるでしょうか。


 これらのことをじっくりと考え味わってみましょう。共に生活している時に無償の愛情を捧げてくれたペットが、亡くなってもなお、尊い贈り物を与えてくれていることに、はっと気づかされるかもしれません。

 ペットロスを経験された皆さまが、喪ったペットへの感謝を胸に、再構成された物語をしっかりと歩んでいかれますことを、こころからお祈りいたします。


(平)

【引用・参考文献】
ロバート・A・ニーメヤー(2006) 「LESSONS OF LOSS:A Guide to Coping」<大切なもの>を失ったあなたに―喪失をのりこえるガイド 春秋社

モイラ・アンダーソン(2001) 「COPING WITH SORROW ON TH ELOSS OF YOUR PET」ペットロスの心理学~悲しみを癒すための手立て メディカルサイエンス社

テーマ:ペットの健康・病気・怪我 - ジャンル:ペット

ペットロス | 00:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
ペットロスの方への接し方
 これまで、ペットとの死別は、人間の場合と同様の喪失体験であり、同様のプロセスを辿ることで回復していくことを確認してまいりました。

 しかし、周囲の人の受け止め方は、対象が人間の場合とは違うことが多いようです。この事実は、すべての人がペットと生活した経験を持っていないということや、ペットを「伴侶」「かけがえのない愛情対象」と認識していないことに起因しているのではないでしょうか。体験や理解を共有する機会が少ないことは、人とペットとの関係が軽視されることにつながります。ペットロスの辛さは、ペットを喪ったという対象喪失体験に加え、「たかがペットで」という目でみられることの辛さでもあるのです。

 次に、ペットロスの渦中にいる人を傷つけてしまう言葉をいくつか挙げます。

「たかがペットが亡くなったくらいで」
「すぐに立ち直れるから大丈夫」
「乗り越えられない試練はないよ」
「仕方がなかったことだ」
「別のペットを迎えたらいい」
「いつまでも落ち込んでいないで」
「そんなことじゃ死んだペットが悲しむよ」

 ペットとの絆があった人にとって、喪ったペットは他の何にも替えられない唯一無二の存在です。ペットを喪った人にとって、これらの否定、励まし、慰め、叱責の言葉は、唯一無二のペットとの絆を軽視されているように感じられるものではないでしょうか。

 また、人が亡くなった場合は、お通夜、告別式、初七日など、親しい人が集まって故人の思い出を語り合い、悲しみを共有する機会があります。しかし、ペットの場合は、そのような機会はあまりありません。そのため、ペットを喪った場合は、「自分だけがこんな思いをしているのではないか」「ペットを喪ったことで、こんなに悲しんではいけないのではないか」と悩むことが多いのでしょう。

 ペットロスに苦しむ人に対しては、「人であれペットであれ、絆のあった対象との死別が悲しいのは自然な反応だ」「悲しいのはあなただけではない」「亡くなったペットのために泣きたいだけ泣いてもいい」ということを言葉や態度で表すことが大切です。手紙や言葉でお悔やみの気持ちを伝えることや、辛い気持ちやペットとの思い出話にしっかりと耳を傾けることは、「あなたとペットとの絆に敬意を払っている」という気持ちを伝えることになります。話を聴く際には、励ましや慰めの言葉は必要ありません。頷きながら「悲しいよね」「そう思うんだね」と相槌をうちながら耳を傾けるようにしてください。

 ペットを喪った人にとっては、体験を共有し理解してくれる人がいるという安心感が悲しみを癒す最良の薬になることでしょう。

(平)

テーマ:ペットの健康・病気・怪我 - ジャンル:ペット

ペットロス | 17:29:59 | トラックバック(0) | コメント(1)
アサーティブであるために(5)
 今回でこのアサーティブネスに関するブログもちょうど半分になりました。前回は自分も相手も大切にするコミュニケーションであるアサーティブネスを目指すときに心の支えとしていただきたい11の権利(心の支え)についてお伝えしました。前半の最終週の今日は、アサーティブネスとはどんなコミュニケーションであるかというのをもう少し詳しくお伝えしていきます。

 NPO法人アサーティブジャパンのトレーナー森田汐生さんの著作では、アサーティブネスとは以下の4つ柱を持つコミュニケーションであると紹介されています。

①誠実:アサーティブネスにおける誠実とは、自分(の気持ち)にも相手にもうそをつかないこと。
 例えば、食事に誘われて、本当は行きたくないのにしぶしぶ食事をOKするのは自分に対しても相手に対しても誠実とは言いにくいですね。行きたくないときには自分の気持ちを認め、相手にもうそをつかず誠実に断ることがアサーティブだといわれています。

②率直:回りくどくなく、わかりやすく具体的に伝えること。
 せっかく自分にも相手にも誠実に伝えても、回りくどく伝えたり、一度にいくつものことを言ったりすると相手にはなかなか伝わりません。アサーティブネスにおいては率直に具体的に、相手に伝わるように伝えることが求められます。

③対等:相手を見下したり、自己卑下をしたりせずに、話しをすること。
 私たちの身の回りには様々な上下関係が存在します。年齢や職場、親子関係などもある意味上下関係といえるかもしれませんね。その上下関係をすべてなくして同じ態度で接するというのは不可能ですが、心の中で自分も相手も同じ人間として同じように尊重することは可能です。アサーティブネスでは、「私も相手も同じ価値を持つ人として対等である」と認めます。その上で、対等にコミュニケーションをとることを目指します。

④自己責任:自分のしたいことは自分で決め、その責任を引き受けること。
 例えば、アサーティブネスであることを選択することも、アサーティブネスでないことを選択することも自分自身が決め、そのことで生じた責任の一端が自分にあることを認めた上で行動することがアサーティブであるといわれています。

 また、世界中でもっとも有名なアサーティブネスに関する著作「Your Perfect Right」の中では、アサーティブネス行動とは以下の11の要素を持つとされています。

①自己を表現する
②他者の権利を尊重する
③正直
④直接的で確固としている
⑤平等である-人間関係で双方のためになる
⑥言語的(メッセージの内容を含む)および非言語的(メッセージのスタイルを含む)
⑦時には肯定的(好意、賞賛、感謝を表す)、また、時には否定的(制限、怒り、批判を表す)である
⑧一律でなく、関わる人と状況に応じる
⑨社会的責任を持つ
⑩この考えは、初めは受け入れがたいかもしれないが、生まれつきのものではなく、学習によって身に着けていくものである
⑪これらの10個のポイントをおかすことなく、目標を達成するために必要な粘り強さがある
                    
 なんとなくイメージがつかめましたでしょうか?言葉や表現は異なりますが、双方とも「自分も相手も大切にする」アサーティブネスコミュニケーションの大切なポイントを表しています。では、アサーティブネスのイメージをつかんでいただいたところで、次回から具体的なアサーティブ行動について「頼む」と言う場面を例にあげ、お伝えしていきたいと思います。



【参考文献】
・アン・ディクソン(竹沢昌子・小野あかね(訳))(1998).第四の生き方-自分を生かすアサーティブネス 柘
植書房新社 
・特定非営利活動法人アサーティブジャパン(編)(2000).アサーティブネスへようこそ WELCOME TO
ASSERTIVENESS かいらす企画
・ロバート,E,アルベルティ・マイケル,L, エモンズ (菅沼憲治・ジャネット純子訳)(2009). 自己主張トレ
ーニング改訂新版 東京図書

(望月)

テーマ:うつ病(鬱病)、メンタルヘルス - ジャンル:心と身体

アサーティブネス | 00:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
アサーティブであるために(4)
 前回はアサーティブネスというコミュニケーションを知っていただくために、非主張的(受身的)・攻撃的・作為的(攻撃的)・アサーティブネスという4つのコミュニケーションのパターンについてお伝えしました。なんとなく、「自分も相手も大切にするコミュニケーション」のイメージをつかんでいただけましたでしょうか?

 今日はこのアサーティブネスを実践するために、ぜひ覚えていていただきたい権利についてお伝えしたいと思います。権利と聞くとなんだか堅苦しくって苦手という方も多いようですが、アサーティブネスにおける権利とは「心の支え」のようなものです。より良いコミュニケーションを目指すための心の支えは全部で11個あります。

1  私には、自分の要求を言葉に表し、日常的な役割に縛られない一人の人間として、物事の優先順位を決める権利がある。
2 私には、賢くて能力のある人間として、対等に、敬意をもって扱われる権利がある。
3 私には、自分の感情を言葉で表現する権利がある。
4 私には、自分の意見と価値観を述べる権利がある。
5 私には、「イエス」「ノー」を自分で決めて言う権利がある。
6 私には、間違う権利がある。
7 私には、自分の考えを変える権利がある。
8 私には、「わかりません」と言う権利がある。
9 私には、欲しいものを欲しいと言い、したいことをしたいと言う権利がある。
10 私には、他の人の問題に責任をとらなくてもいい権利がある。
11 私には、人から認められることをあてにしないで、人と接する権利がある。

                         「第4の生き方」 アンディクソン著

 いかがですか。ぜひ黙読だけでなく、声に出して読んでみてください。ご自身の気に入る権利はありましたか?これはちょっと抵抗があるというものも中にはあるかもしれません。この11の権利はあなたご自身にも周囲のすべての方にも認められているものです。

 例えば、ユビキタス・カウンセリングの中でも会社やご家庭の中で言いたいことが言えずに我慢しているというお話を耳にします。「自分にはそんなにスキルや才能がないから」あるいは「私は母親だから我慢しなくっちゃ」様々な理由があると思います。でも、「○○だから」と言いたいことを呑み込みそうになったとき、ぜひこの11の権利を思い出してください。そして、皆さんご自身が、さまざまな能力(決して勉強や仕事や家事だけでなく、しんどい毎日をやり過ごせることやゆったりと時間を使えることも素敵な能力です)を持っていて、敬意を持って扱われる権利があることを思い出してください。

 また、3/11の震災以降「被災者だから」「私よりもっとつらい人がいるから」といって不自由な生活を我慢したり、「哀しみ」や「怒り」を押さえ込んだり、というお声もよく耳にします。もちろん失ったものは簡単に取り戻すことはできませんし、つらい現実はなかなか変わらないかもしれません。それでも皆さんご自身の「哀しみ」や「傷つき」「怒り」や「何かを望む」ことは決して間違ったことではありません。ほしいことやしたいことを求める権利や、感情を表現し、意見と価値観を表明する権利があることを決して忘れないでください。

 そして、是非この11の権利はご自身だけでなくコミュニケーションをとっている相手の方や、世界中のすべての方にあることを覚えておいてください。



【参考文献】
・アン・ディクソン(竹沢昌子・小野あかね(訳))(1998).第四の生き方-自分を生かすアサーティブネス 柘
植書房新社 
・特定非営利活動法人アサーティブジャパン(編)(2000).アサーティブネスへようこそ WELCOME TO
ASSERTIVENESS かいらす企画

(望月)

テーマ:メンタルヘルス・心理学 - ジャンル:心と身体

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